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私は金星、『ポルックス』の近くを調べてみた。
金星は緩やかな光を発し漂っている。
史実上のポルックスはオリオン座群の中では特段強い光を放っている星ではない。
しかし、オリオン座として無くてはならない星だ。
少女はこの星を作るために犠牲にされたのか、
それとも大切な意味を残していたのか。
どちらにせよ、この金星には何かしらの秘密がありそうだ。
私はしばらく金星を凝視する。星は部屋をゆっくりと移動している。
ゆっくりと部屋を移動する星は「何かを探している」ようにも見えた。
金星を眺めていた私はふとある事に気がついた。
金星はある一点を中心に公転している。
私は中心を凝視する。そこには一つの絵画があった。
いや、これは「写真」なのだろうか。
「この少女は…」
少女はこの部屋の主なのだろうか。
それともこの少女が「ポルックス」なのだろうか。
訝しげに部屋を眺める表情から考えて、
この少女はこの奇妙な部屋に入る事に慣れていないだろう。
だとすればこの少女は魔女と親しい
「弟子」ということになる。
私はこの絵を手に取る。
この絵画には「最愛の人の娘」かもしれない人物が
描かれている。
この絵画を見せれば、彼女はまた笑顔を見せてくれるだろうか。
私がこの陰気な場所に来た意味を見出してくれるだろうか。
私は絵画を懐に入れ、部屋の入口の方へと歩き出した。
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